昭和ごはん 作れる思い出レシピ :瀬尾幸子著のレビューです。
感想・あらすじ 職人さんと思い出す昭和の食卓風景
本書、グルメ本かと思いきや、様々な職人さんのお話も楽しめると言う二層仕立ての本でした。
料理研究家の瀬尾さんが自ら現地に出向き、職人さん達に思い出のごはんについて語ってもらい、そのレシピを再現していくといった内容。
金魚養殖、花押作家、見番、畳職人、つまみかんざし職人、ちくわぶ製造・販売刃物鍛冶 ポン菓子機の製造・販売 等々…普段あまり聞く機会のない専門職につかれている職人さん達の話がこれまた面白い。
大半の方は家業を継いでいて、忙しい作業の傍ら家族と食べた料理を思い出されています。料理の方もお嫁さんに受け継がれたりと心温まるお話の数々。
東京風いなり寿司・ちくわぶの煮物・マカロニカレー・たけのことニシンの煮物・レバ刺し・柳川鍋・牛肉うどん・焼き魚定食・フレンチトースト・・・ など、シンプルな料理ばかりですが、すぐにでも食べたくなるようなものが多い。
また、昭和ごはんと言えば、「給食」と言う方もいらした。揚げパンとか懐かしいですよねぇ。
今は調理器具も発達し、外食と家ごはんとあまり境目がなくなっていると思うのですが、昔は、外で食べるものと家で食べるものの区別があり、だからこそ外食が今以上に
ウキウキするものだったのだと思います。
私は「ちくわ部」を仲間内で作ってしまうほど「おでんのちくわぶ」好きなのですが、
知り合いの関西人には「あれは食べ物ではない」とよく言われます。地味な食べ物ですが、あの良さを知らないのはもったいない!
この本の「ちくわぶの煮物」を是非見て下さい。あと、ちくわぶ工場の見学も!
と、何気に「ちくわぶ」を宣伝しておこうと思います。
瀬尾幸子プロフィール
料理研究家。学生時代から料理研究家のアシスタントを務め、その後、独立。無駄と無理を省いた、シンプルでうまい料理に定評がある