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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

安宅家の人々:吉屋信子

本の紹介(女性作家や行)

安宅家の人々吉屋信子著のレビューです。

安宅家の人々 (大衆文学館)

安宅家の人々 (大衆文学館)

 

 

 

吉屋信子さん、大人の小説も面白い!

 

 

少女小説」も面白いけど、大人たちの話も文句なく面白かった。
共通して言えることは、嫌な人物は本当に憎らしく描かれていることと、
その反対にきれいな心を持つ人物が登場し、その濃淡が
次第にくっきり見えてく面白さ。
このあたりが吉屋さんの巧さなんだなぁ。

 

知的障害者の夫を支え、養豚場の経営をひとりでこなす妻・国子。
大変だけど平穏な日々の夫婦のところへ、事業に失敗した夫の弟夫婦が
転がり込み敷地内に住むことになった。

 

そこからが悲劇のはじまり。
隙あらば兄夫婦の財産を狙う弟。

 

国子はそんな弟夫婦から身を守るように、一定の距離を
持つようにしようと最初は考えていたが、義妹の性格の良さに
いつしか親しい関係になる。そして出入りが増す中、夫もまた
ピアノやテニスを教えてくれる義妹と親しくなる。
それがいつしか、ほのかな恋に変わるわけだが…。

 

主な登場人物をチーム分けすると…

悪チーム: 義弟、国子の妹
善チーム: 義妹、国子の夫 義妹の家族(特に父)

 

悪チームは常にお金目当てで動いていて、その腹黒さと言ったら!
特に義弟の発言・行動には本当にムカムカさせられっぱなしでしたよ。
その合間に登場する国子の妹もこれまた腹黒くイライラさせられます。

 

夫と義妹はあくまでもプラトニックなのですが、義妹は自分の腹黒夫と
対極にある無垢で純粋な義兄へ惹かれてしまうのも理解できます。

 

また、自分の夫がまさか恋愛など、ましてや身内ないなんて
想像すらしなかった国子。
夫が義妹に恋をしていると悟った時の驚きと初めての嫉妬に苦しむのです。
このあたりの心理も上手く伝わってきます。

 

で、で、後半、衝撃的な出来事が…
(私も)油断していたところに、これは…
さぁ、安宅家の人々は…。

 

まぁ、最後は女の「結束力」って感じですかねぇ。
もちろん悪役はやっつけられます。吉屋さん、ありがとう(笑)

 

巻末エッセイは田辺聖子さん。
この小説は「新聞小説」だったそうです。昭和27年短編「鬼火」で
女流文学者賞を受賞された吉屋さんの本音は「安宅家の人々」で
受賞をしたかったそうです。
ご本人にとっても思い入れのあった作品なのでしょうね。

 

あともうひとつ。
読んでいて文体のまろやかな感じが庄野潤三さんを読んだときと
同じような感覚が私には残った。なんでだろう…。

 

この読みやすくてまろやかな文体は、ふと一息入れたいときに
読みたくなります。
きっと私にとって相性がいい作家さんなんだろうな。

 

 

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