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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

馬琴の嫁:群ようこ

馬琴の嫁:群ようこ著のレビューです。

馬琴の嫁 (講談社文庫)

馬琴の嫁 (講談社文庫)

 

 

◆「南総里見八犬伝」の裏舞台

 

 

馬琴の嫁とは、馬琴の妻のことではなく、一人息子に嫁入りした
長男の嫁「てつ」のことです。

 

作家の妻の話は結構多いけど、わざわざ息子の嫁のことを

取り上げる話なんて滅多にない。
それだけに、なにか馬琴との関わりに普通じゃないものが

あるのだなと思い、たいして瀧澤馬琴のことも知らないのに

好奇心が止まりません。

 

さて、いろんな想像しながら突入していったのですが、

「あら、大変なところに嫁いでしまったわね」と、さっそく同情の嵐。

結婚早々に親戚に同じ名前の者が居ると「みち」という名に

改名させられる嫁。

 

なにせこの瀧澤家、
「この家に入るものは、塵ひとつとて馬琴の目を通さなければならない」
という何事もチェックの厳しいとても面倒な家なのです。

 

そして姑は癇症持ちでつねにイライラしているし、夫は常に病気。
医者なのにずっと体の調子が悪く寝込んでばかりです。

 

なので、ここの家には手伝いをする女中が必要ですが、

やっと見つけた女中もあっと言う間に辞めてしまい、

結局その負担がこの嫁にさらに重くのしかかってくるのです。

 

話はこの気難しい馬琴の相手、姑のイライラや八つ当たりに手こずり、
毎日の夫の看病という永遠に終わりそうもない生活パターンの

繰り返しを記し、それほど変化のない内容なんです。

 

しかし、実家と瀧澤家の違いや、少しずつこの嫁の存在が大きくなり、
いかに瀧澤家を助け、馬琴に認められるようになったか…

そんな様子に引き込まれます。

 

このお嫁さん、苦労続きだったわけですが、唯一の希望は

占い師に言われた「後世、感謝される」という言葉。

 

私もこの言葉を頼りに、いつこの嫁の努力が報われるのかと、
静かに見守りながら一家の行方を見ていました。

 

さぁ、いよいよ馬琴の晩年へと時は流れます。
読み書きもままならない彼女が、目が不自由になってきた馬琴の

代筆を任されます。

 

それが「南総里見八犬伝」というわけです。

 

おそらく、この嫁なくしては作品は完成しなかったことでしょう。
「後世、感謝される」という言葉はそういう意味だったのですね。

 

特にものすごく感動するとか、心を持って行かれるような

話ではないのですが、いつまでも心に残る話ではありました。

 

決して表舞台に出なかった存在ですが、「八犬伝」を世に送り出した

一人としての功績は果てしなく大きなものであります。

 

そして、たびたび登場する「猫」。
この猫の存在感ももうひとつの見どころでもありますので、
読む方は猫チェックもお忘れなく!

 

 

 

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