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【レビュー・感想・あらすじ】無限の網 草間彌生自伝:草間彌生

 

 

無限の網 草間彌生自伝:草間彌生のレビューです。

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

 

 

感想・あらすじ 草間彌生という人物自体が芸術!

 

ブームですよね、草間さん。最近、テレビの取材でもよく見かけ、その何とも言えない雰囲気に飲みこまれている自分がいつもいる。

 

絵を描いている時の眼光、集中力。その気迫たるや圧倒されっぱなしです。
一体、この方はどのような人生を歩み現在の「草間彌生」に至ったのか知りたくなりました。

 

とにかく少しでも興味のある方は、この本を読んで更に圧倒されてみてください。
想像以上の人生を歩まれています。

 

長野県に生まれ、10歳のころから水玉と網模様をモチーフに絵を描き始めた草間さん。仲の悪い両親のもとで育ち、母親から絵を描くことを終始反対され続ける。

 

オーラが見えたり、植物や動物の言葉が聞こえたりと、精神的な不安からなのか?持病のはじまりだったのか?はやくも多感であった少女時代を想像させられる。

 

 

 

 

やがて、28歳、窮屈な日本を飛び出しNYへ。1960年代後半、ボディーペインティングをはじめ反戦運動など多数ののハプニングを行う。

 

なんというか、この時代にすでに今で言うゲリラライブ的なことをしていたんですねぇ。

 

アメリカの地で、草間さんが影響を受けた芸術家たち、草間さんを支える人々、ホモ、レズ、乱交パーティー、スキャンダル…そして、草間さんの少し変わった恋愛等々、どれもこれも個性のかたまりで過激です。

 

13年ぶりに一時帰国をした草間さんは日本という国に失望する。男どもがいばってることに腹を立てた草間さんは「彼らのお尻をバットで殴ってやりたい思いがした。そして全員去勢して、八丈島にでも島流ししてやりたかった」と。

 

これら、セックス音痴の日本人を解放すること、日本の男社会であることに対する草間さんの不満の表れで、向こうの生活を続けていた彼女にとってまるで変わらない日本に対しての苛立ちがよく伝わって来ます。

 

そして、銀座の路上で深夜のハプニングショ―で警察に逮捕されているのですが、日本ではなかな難しいと想像はつくんですが、草間さんは突き進んだわけです。

 

 

 

 

…と、時代の流れとともに様々なことと戦いながら、それでも描き続けた草間さん。現在はNY時代の仲間たちも草間さんも死が近づき、着陸態勢に入って来ているという。

 

人生の一番いい時と言える気がする。作品がじゃんじゃん作れる。(中略)
…しかし、楽しんで作っているということはない。楽しんで戦争に行く人間がいないように確かに、人生の中で大変な仕事を選んでしまったという感じで時々、絶句する。

非常に重みのある言葉。ギシギシに詰まった草間さんの人生。
そこにさらにまだ見ぬ世界を詰め込もうとする情熱。
でも、死ぬまで何かに対して情熱が持てる人生ってとっても羨ましい。

 

現在は人との交際なども断ち、作品とだけに向かい合う時間。一体どんな作品がこの先見られるのか。これからも草間さんに圧倒されたいし、その情熱のシャワーをみんなに浴びせ続けて欲しいなぁーと切に感じました。