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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】花押のせかい: 望月鶴川

 

 

花押のせかい: 望月鶴川著のレビューです。

花押のせかい

花押のせかい

 

 

 

ひとつは欲しい自分だけの「花押」

 

 

ちょっと前に読んでいた本に「花押職人」という方が出てきて、
それからずっと気になっていた「花押」。

 

なんだっけ?なんだっけ?どっかで誰かが使っていたなぁーと。
そうそう、以前テレビで政治家たちが文書にこの「花押」を

スラスラ書いていたのを思い出しました。

 

草書体をさらに崩したような一文字。

一体どんな文字の組立てになっているのか?
という、そもそもの疑問。大雑把にですがその成り立ちなどが

本書で知ることが出来ました。

 

さて、「花押」とは?これは平安時代から伝わる日本独自の

署名ということで、古文書の末尾に花のように書かれた署名を

ご覧になった方も多いと思います。

 

花押には署名としてだけではなく、意志・漢字文化・人の歴史が
詰まっているとのことでなかなか奥深いもののようで、

この1冊だけではとても理解できないですが、読むことによって、

その入り口に立てたような気がします。

 

豊臣秀吉、織田信長、徳川家康など、歴史上の錚々たる

メンバーの花押を拝見。

 

秀吉は「悉」という文字を。

意味は「ことごとく、尽くす、全部」などから、
「天下すべて」の意味を込め、自分の権威を示したものと思われ、
また、織田信長はいくつもの花押を使用していたそうです。

 

家康の花押はとてもシンプルで個人的に好きです。

天地の線を基調に作られ、徳川判とも呼ばれ、江戸時代の主流を

なした武家様式の花押だそうです。

現代人が使っている花押もこれをベースにされているものが

多い気がします。

なるほど、この3人だけでも花押には各々の気持ちが入っています。

 

 

 

書体については、

・草名体…自分の名前を草書に崩し簡略化
・二合体…実名の中の二文字からそれぞれの一部を組み合わせる
・一字体…実名の中より一文字、または任意の一文字を使ったもの
・別用体…文字に関係なく鳥の図柄を表したりその形象を使う
・明朝体…上下に「一」を配し、その間に姓名の一文字を取りこんだもの

 

 

本書では、明朝体ベースの自分の花押の作り方が載っていましたが、
これがなかなか難しい。

 

そうそう、面白かったのは、現代でも花押に近いものが身近に!
よく街中で高架下や壁にスプレーで書かれた絵のような

文字を見かけませんか?

 

あれは「タギング」というもので、アメリカ発祥らしいのですが、
「TAG」名前、あだ名を意味することから「タギング」と呼ばれ

文字や絵を描くことによって自己主張をしているとのことです。

精神性は別として、自己主張と言う点で共通した部分があると

筆者は言っています。

 

さて、現代では「花押新書体」ということで、横書きのものまで登場。
その数々はとても美しく、アートです。お店の商標などにも使われたりと、
これが、ちょっと格好良いんです。

 

また、お店だけではなく個人のサインやマークとして使っている方もいて、
どれも個性があり素敵。サラサラこんな文字をサインされたら、

見ている方は絶対うっとりするはずです。

 

あら、ちょっと紹介するだけに留めようと思ったのに、

こんなに書いてしまった。やはりこの世界、ちょっと研究したくなる

何かがあるからかなぁ。

 

とにかく何が凄いって、やはり「漢字」です。
漢字だからこそ、その意味が活かされ、文字に精神が宿る。
このような伝統的なシーンに出会うたびに、「あー漢字圏で良かった」と

思わされます。

 

あぁ…素敵な自分だけの花押が欲しいなぁ。
と、あれこれメモ帳に練習している日々であります。