ツタよ、ツタ:大島真寿美著のレビューです。
感想・あらすじ 題材は良いのだけれども・・・
女性の一生を描いたものです。
こういった小説を好んで読んでいる者にとっては、んーちょっと内容が薄かったなぁというのが正直な感想。
明治時代の沖縄出身という実存された女性のことをらしいのですが、終始なんだかぼんやりした感じでグッと胸を突かれるようなシーンに出合わなかったのは読み手として望むものが大きすぎたのかな?
女学校時代に書くことに目覚めたツタ。卒業して仕事、結婚と普通の女性として生きていたのだが、年下の男性と恋に落ち、離婚をして新しい生活を始める。
子供と生き別れ、知らない土地で一から始めた生活。まだ学生だった年下の彼との生活は金銭面でも追い込まれてゆく。やがてツタは「書くこと」によって新たな生きがいを見つけるのだが、書いたものが世間を騒がすものになってしまい・・・
ようやく作家としての道が開けそうになったのに、このことによって「幻の女流作家」になってしまった。
その後彼女がどう生きたのかは、後半徐々に明らかになるのだが、サラッとした文体のせいなのか、それともツタ自身の魅力が思った以上に伝わってこなかったせいなのか・・・これといった感動もなく終わってしまった。
もっとこの人物に厚みをもたせることもできたのではないかな?なんでこのことを書きたかったのか?書くことによって彼女の中に起きた変化、家族との関係の変化等々、もっともっと細かい描写を重ねても良かったのでは?どこをとってもその過程が雑な感じがした。....と素人ながらに言いたい放題ですが。
ひとつだけ意外だったのは、この年下男性と色々ありながらも添い遂げていたこと。私はてっきり続かないだろうなーと思っていたのですが。
というわけで、内容紹介はすごく好みの作品だと思い、楽しみにしていた分、残念度が高かった。うーん・・・・。
文庫本