加代の四季:杉みき子著のレビューです。
素敵な男子は童話の中にたくさん埋もれている
ごくまれに、恋愛対象にすらならない小さい男の子が、ドキュンと来ることを言うことがある。そんな時、年甲斐もなく、心で照れまくっていたりするものですが、今回、この物語を読んでいてそんなシーンに出会ってしまったのです。
まさか、児童書に出てくる少年にドキッとするとは…。
本書は先日読んだ「月夜のバス」の杉さんの作品です。
その後も、別の作品が気になり、こちらをセレクトしてみました。
7つの話が収録されています。
その中で気に入った話は2つ。
例の私をドキドキさせた少年が出てくるのは「白さぎ」という話です。
実はこの少年、けんか好きのいじめっ子。仲間に敬遠されている子なのです。ある日、同じクラスの少女が友だちのうちに向かう途中この少年の姿を見かけます。
少年の見ている先には一羽の白さぎがいます。学校のかばんを持ったままの少年は家にもまだ帰らず、白さぎを見守っています。
少女は友だちのうちの用を済ませ、また同じ道を通ると、やはりそこにはまだ少年が。しかたなく少女は声をかけます。
この先を書いてしまうとネタバレになるので書きませんが、なぜこの少年がずっとこの白さぎを見ていたのか…。そして、この少年が少女にしたちょっとした動作。
…やんちゃな少年が、二人きりになると、全然違う人に見える瞬間ってありますよね?
急に優しい言葉が出てきてドキッとするようなね。
この少年がまさになんです。
白さぎを見ていた理由にキュンとなり、少女にした動作にドキッとし…。
いつしか、私はこの少女になって、口をとがれせながらも、「ちょっといいな…この感じ」と、年甲斐もなく浮き浮きしちゃいました。
その他、「わらぐつのなかの神さま」の、お婆さんの話は凄く良い。
凄く心のあったまるよい話でした。
素敵な男子は童話の中にまだまだたくさん埋もれていると知ったある日の午後でした。