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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ギュレギュレ:斉藤洋

 

 

 ギュレギュレ:斉藤洋のレビューです。

ギュレギュレ!

ギュレギュレ!

 

 

 

話術が凄いぞ!謎のトルコ人の押し売り!?

 

 

ある朝、「ごめんください!」という声のあと、

ドンとマンションのドアに体あたりするような音が聞こえました。

 

これから起こるすべてのことは、この朝のシーンからはじまります。

 

ひとり暮らしのぼくの家にやって来たのは年齢不詳のトルコ人。

日本人のぼくにいきなり「ギュナイドゥン」と大きな声で言ってくる。

 

もうすでに怪しい雰囲気満載のトルコ人に私までもが身構えた。

しかしものの数ページでトルコ人の話術にハマってしまった。

 

そしてこの日は、「見えない穴」と「不思議なじゅうたん」を

5万で売ってトルコ人は帰って行きました。

 

わたしはてっきりインチキ押し売りだと思っていたのですが、

トルコ人がたびたび彼の家にやってきてセールスする。

 

売りつけるものは決して粗悪品ではなく、

むしろ持っていたらすごく便利だろうと思わされるものばかり。

しかも他では手に入りそうもない。

 

値段も高すぎて買えないってほどじゃない。

ちょっとがんばれば買えそうな値段設定もニクイのです。

一体どんなものを売りに来たのかは是非読んで楽しんでください。

 

さて、奇想天外のモノが出てくるだけではなく、

トルコ人とぼくの会話がめちゃくちゃ面白い。

ボケとツッコミではないけれど、ちょっとしたコントを聞いているかのよう。

 

このトルコ人の言葉に対するこだわりとでも言おうか。

ちょっとした言葉に異様に執着する。

お客さんであるぼくの不慣れなトルコ語に対しても

たいそう厳しくツッコミを入れてくる。

 

ちょっとのんびり屋のぼくと、そつのないトルコ人との

やり取りはいつまでも見ていたい。

 

あれこれ不思議なものを手に入れて来ましたが、

このトルコ人はどこからこんなものを仕入れてくるのか?

また、謎のトルコ人は一体なに者なのか?

最後の最後まで読者を惹きつけるストーリーでした。

 

「ギュレ、ギュレ」

何度か去ってゆくトルコ人に向かってぼくが使う言葉。

 

魔法のような音感のこの言葉は、

トルコ語で見送る側が言う「さようなら」。

 

でも、わたしにはこの言葉を唱えれば、

何度もぼくがトルコ人に会えたように、

わたしも再び彼らに会えそうな気がするのだ。

 

だから「ギュレ、ギュレ」って言いながら、

続編を密かに期待しているのです。