抱擁家族:小島信夫著のレビューです。
◆なんとも・・・言えない
何気に図書館で目について借りて来た一冊。
文字が大きくて読み易いと思ったら、ワイド版というものであった(笑)
講談社さんもこういうタイプのもの出していたんですね。
さてさて、小島信夫。
一度読んだことがあるのですが、どうも肌に合わず、
家族ものならなんとかいけるかなーと読んでみたものの、
やはり合わないものは合わない。
あまりいい表現ではないけれど、キーの外れた歌を
ずっと聞いているような違和感が付き纏っていたなぁと。
妻の不貞が発覚したことから家庭内がギクシャクしていくわけだが、
そもそも妻の不貞って結構な大事であるにも関わらず、この夫婦、
修羅場とか離婚とかにはならず、夫にいたっては、自分も不倫経験がある
と打ち明けたりと、まったくもって意味不明。
夫はその後関係を修復しようと頑張るが、その行動も
どこか的外れなもので読んでいて虚しくなる。
まぁそれは「夫婦仲」ということで百歩譲ったとして、
新築の家に住み替えたと思えば、唐突に妻が「乳がん」になり
あっという間に亡くなってしまう。
で、亡くなったと思いきや、夫は後妻を慌てて探したり・・・と。
少しずつ家族が再生していくとか、一丸となって的なものを
期待したのですが、そうともならず・・・。
なんだかなぁ。すべてが雑というか、心理描写が大きく
欠如しているからか、感情という部分を排除した小説を
読んでいるような気分にさせられる。
なんでこうも大事な部分をすっ飛ばしてしまうのぉーーーと。
もうここまでくると、シュールとしか言いようがない。
結局何が言いたかったのか、さっぱりでお手上げ状態です。
最後に息子もこの家を出てゆくが、わたしも途中で何度も
この家族から逃げたかったわ。