うずまきぐ~るぐる

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つづきの図書館 :柏葉幸子

つづきの図書館 :柏葉幸子著のレビューです。

つづきの図書館

つづきの図書館

 

 

◆本の中の人たちが、あなたを探しているかもしれない

 

 

こうして飽きもせずに読んだ本のあれこれを書き、時に登場人物に
共感し、時に違和感を感じ不満を言いたくなったりしながら
自分なりにその本を完結させてきた。

 

でも、もし読まれる側、つまり物語の中の登場人物たちが

「私」のことを逆に見ていたら…。

 

こんな発想、私にはまったくなかったので、

本書を読んでものすごく新鮮な気持ちになりました。

 

本の中の人たちも「えーそんな風に思うなよ!」とか、
「あなた、泣きすぎ。そこ泣くシーンじゃないよ。なんかあったの?」って
問いかけたくなる読者とたくさん出会って来たわけで、

それを含めると1冊の本には本当に色々な物語が宿っているんだなぁと

考えさせられます。

 

本書は絵本の中のお茶目な裸の王様や狼やあまのじゃくが、
自分が出てくる本を読んでくれた印象的な読者の「つづき」を

知りたがり、図書館に勤める桃さんと飛び回る。
(この桃さん、いつの間にか巻き込まれているあたり人の良さが出ている)

 

時が経ちその時の子供はすでに大人になっていたりするのですが、
どうして本の中にいた人たちがその子供をずっと気にかけていたのか、
徐々にそのあたりの事情が分かり、なかなか読ませる内容なのです。

 

本の中の人たちは、桃さんの家でふつうに生活をしています。
その生活ぶりが可笑しかったり、他の人に気づかれるのではないかと、
ハラハラさせられたり…。

 

だんだん私の中でも彼らの存在感が大きくなり、ラストはとても
切ない気持ちになるのだけど、それだけじゃない、温かい気持ちに
なれる結末が用意されていました。

 

最近になって再び読みたくなった絵本とか、突如、図書館で

目に入って来た懐かしい本なんかは、もしかしたらあのころ

出会った本の中の人たちが、「あなたのつづき」を

知りたがっているのかもしれない。

 

そんな風に自分のことを気にかけてくれる本がもしあるのなら、
それはものすごく幸せなことなんじゃないかな。

 

本書は物語の良さやうまみを活かしたすばらしい作品だと思う。
実際そんなことあるわけない!って話ではあるけど、

もしそんなことがあったら…という夢を持たせてくれる。

 

本を愛する人たちにおすすめしたくなる1冊でした。
だって、本を愛する人は、本に愛される人でもあるのだから。

 

本を閉じてしまったらそこで終わり。…ではない。
あなたの知らない場所で本の中の人々の想いは、まだまだ進行中かもしれない。


※装丁も楽しいです。山本容子さんがいろんなお話の主人公を描き、
 キュートに登場させています。

「赤い本」から今にも飛び出して来そう!

 

 

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