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生きてゆく力:宮尾登美子

生きてゆく力:宮尾登美子著のレビューです。

生きてゆく力 (新潮文庫)

生きてゆく力 (新潮文庫)

 

 

 

◆自伝的エッセイですが小説を読んでいるような錯覚。
             宮尾作品ファンの方にはたまらない1冊

 

 

久しぶりの宮尾さんになります。流れるような美しい文章と再会し、
「そうだ、これよ…」と感じるこの安心感。舟にゆったりと身を
任せた状態になります。

 

大好きな作家さんの一人で、宮尾さんの文章に触れると

安心感とともに、何故か背筋がシャンと伸びるような

気持ちにさせられます。お行儀よくしなきゃって!

 

本書はエッセイなのですが、特に前半は宮尾さんの自伝的な
エッセイとも言えます。

 

宮尾作品のルーツにもなる家庭環境などが詳しく書かれていて、
一連の作品を読まれている読者にはたまらない1冊です。

 

両親の離婚、そして、ご自身も満州へ渡ったという

大変な過去もお持ちで起伏の激しい人生を歩まれて来たのだと

改めて実感します。

 

姉妹のように育った「仕込みっ子」たちとの生活や別れ。
そして再会の実話は、一人一人の人生をまるで小説のように

読ませる内容。

 

宮尾さんがこの少女達に対してどれだけ悔いる思いを持ち

自分を責めたか…苦しかった心境が綴られています。

 

また、少女達を妓楼に斡旋する仕事をしていた父親への怨みや、
農家の嫁となって野良仕事をして過ごした日々など、
小説家以外の宮尾さんの素顔がたっぷり感じられます。

 

苦労話などもあまり悲壮感がないキリッとした文章。
そして何と言っても宮尾さんと言えばやはり高知県


今回も、高知県の古きよき時代の風景が生き生きと描かれ、
素敵な場所であることが伺えます。

 

ご主人の看病と死という出来事で、休筆されていたそうです。
勘が鈍りなかなか書けないそうですが、まだまだ書きたい小説が

あるとのこと。


読者の一人として、いつまでもお元気で書き続けて欲しいと
願うばかりであります。

※このエッセイがたしか最後になってしまったと思います。

 本当に残念でなりません。