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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・感想・あらすじ】夜市:恒川光太郎

 

 

夜市:恒川光太郎著のレビューです。

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

 

感想:人気の「夜市」に出かけてみました

 

ずっと行かけなければならいと思っていた「夜市」。「本が好き!」のサイト内で、人気のあるホラーと言えば「コレ」というくらい書評数も多い。「読まないと!」と思いつつなかなか辿りつけなかった本だけど、いよいよといった感じで腕まくり!

 

ホラーというと、おどろおどろしいシーンを想像しがちで、ちょっと身構えて読み始めるわけですが、恒川さんのホラーは、いつの間にか幻想的な異空間に運ばれてしまったような話が多く、途中で「ちっ、またやられた」的なうれしい敗北感が自分の中にあります。

 

「夜市」もそんなムードでして、表紙の金魚ちゃんたちが居るような世界かしら~?なんて大学二年のいずみと同様、私も付いて行っちゃったわけだが…

 

「何かを買わなければ決して出ることが出来ない。」

 

そ、そんな!
夜市では望むものが何でも手に入るわけですが、なんだか奇妙で高いものばかりだし、胡散臭い。

 

主人公・祐司は昔もこの夜市を訪れたことがある。欲しいものを手に入れるために弟を代償にしてしまう。今回、その弟を取り戻そうと再びいずみと訪れたわけだが、果たして弟は見つかるのか?

 

 

 

 

本書は2編収められているのだが、私は「風の古道」の方が楽しめたかな~。ちょっと入ってみたら、意外にもそこは抜け道だったり、階段を上がってみたら、思わぬ絶景に出会えたり。


「ふとしたはずみ」から、入り込む場所は私たちの周りにはたくさんある。本書に出て来る「古道」も、行こうと思えばすぐに行けそうな近くにある異界。

 

そこへ入り込む少年二人が出会う人々、風景はどれも引き込まれるものがあるけど、

ずっと足元が定まらない感じで、心細さと不安感がつきまとう。なんとなく、本当にあってもおかしくない、想像ができちゃうだけにとめどなく自分の中でも映像が描けてしまう。

 

恒川さんのこういった幻想的な世界は読んでいるというより、自分には見ている感覚に近い小説。読んでいるのに見ている小説。不思議ですよね。

 

本書2編とも自分にはホラー感はなかったけど、確固たる恒川さんの世界を思い切り見せつけられました。魅力ある作品であることは間違いないです。

 

この作品について

本作は、第12回日本ホラー小説大賞受賞作。また、第134回直木賞候補作。

 

 

 

夜市 漫画

漫画もあるんだね!小説を読んでから読むと、ぐっと物語が身近になりそうね。