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袋小路の男: 絲山秋子

袋小路の男: 絲山秋子著のレビューです。

袋小路の男 (講談社文庫)

袋小路の男 (講談社文庫)

 

 

◆最後にストンと落ちる絲山さんの作品はクセなる

 

 

とにかく小気味よテンポがいいのです。
その波に乗りながら、あーだの、こーだの共感したり、上手いなぁーと
ちょっとした表現に感動したりの連続で…。

 

どうしょうもない男にずっと惚れ続ける女性の話。
恋愛にはある程度「勝負期間」というものがあると思うんですが、
その機を逸してしまうとその後の展開って難しいものですよね。

 

この二人も無難に友達関係を維持するのですが、やはりお互いが
微妙に気になる存在というパターン。

 

大谷日向子、小田切孝この二人の間は何年経っても、近づいたり、離れたり。
決してドラマチックな展開にはなりません。

 

日向子は小田切に自分たちの関係は何か確かめてみる。
しかし「ワカラナイ」とカタカナで答えられる。

 

このカタカナで答えるあたりが、この男の性格がよく表れている。
マイペースすぎるくらいマイペース。飄々としたこの男。

 

田切と会うたびに新しい下着を付ける習慣がやめられない。(中略)
腋と、足のうぶ毛を剃る。
予定が延期になるたびに、新しい下着はクロゼットで恥をかき、

むだ毛が伸びる

 

すごいなぁー、何も変化のない関係とやり切れない乙女心を

こんな形で表現するなんて!

 

日向子は一途ではあるのですが、他の人と恋愛もするんです。
すると小田切が軽く嫉妬したりと。

 

けどね、絲山作品って、こういうお決まりの面倒臭いケースでも、
マンネリっぽい話にならないところがすごく不思議。

 

そして…「妻の超然」のラストシーンじゃないけど、

最後の数行でストンと落ちるあの感じ。

 

彼との付き合いの歴史が捨てきれなかった彼女は報われたのか?
そんなことはどうでもいい…。
平凡でも、こーゆー瞬間って解るなぁ…という結末にうなずいたのである。

 

「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」、この2つの短編は

視点を変えて語られたものでどちらも、同じ主人公たちを描いている。

私が取り上げたラストシーンは後者の方です。

 

それにしても「恋人未満家族以上」指1本触れずに12年…
これは純愛というより、関係性を保つように選んだ道なんだろうな。

 

今回触れなかった。「アーリオ オーリオ」という短編は

この2つと全く違った雰囲気。
おじさんと中学生の女の子のお話。この話、ツボの人結構いると思う。

 

 

 

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