メメント・モリ :藤原新也著のレビューです。
◆死を想うことは生を感じること。表裏一体の世界へ
写真・言葉
生・死
動・静
明・暗
若・老
この世・あの世
天国・地獄
この本を眺めていると、写真の対象物と正反対のものが
何故だか浮かんでは消えてゆく。
人骨が川べりに無造作に落ちていたり、
死体が燃やされていたり、
カラスが一皮残さず、骨の髄まで…
そうかと思えば・・・
雄大な自然に抱かれ
いねむりの中での覚醒を見る。
そんな写真の一枚一枚をめくっていくと、
一体、自分は今どこを歩いているのか…
不思議な空間をさまよっている気分に。
~~Memento-Mori~~
この言葉は、ペストが蔓延り、生が刹那、享楽的になった
中世末期のヨーロッパで盛んに使われたラテン語の宗教用語で
『死を想え』という意味だそうです。
本書はそんな思いが込められたフォトエッセイ。
感想を言うのはとても難しい。
多分、今思った感想は明日になると全く違うものになるだろう。
現に最初に読んだ時と、今とでは、この本に感じるものが違っている。
そして短い文章はどれも深い。
いくつか登場する文章の中に、必ず今の自分に響いてくる言葉があるはずです。
「死」の写真と向かい合えば向かい合うほど、「生」の輪郭がくっきり見え、
そして、自分にとって「生」も「死」も、とても身近なことに
思えてきました。
まだまだこの本を読みこなせるほどじゃない自分ではあったのですが、
力強いメッセージを受け取れた気分になりました。