幻影の星 :白石一文著のレビューです。
今ある時間を時間を深く考えてみたくなる
震災以降、死ぬこと、生きることを今以上に意識することが多くなった方は多いのではないでしょうか?エンディングノートを書いておく若者も多くなっているということも耳にしました。
自分の持っているコートが 郷里のバス停に置き去りになっているという連絡を母親から受ける主人公。
しかし、そのコートは自分の手元にもある。これは一体どういうことなのだろうか?
この不思議な出来事を追って行くミステリー小説なのかと思ったのですが、これをきっかっけに「過去 現在 未来」、そして「有ると言えば有る 無いと言えば無いつまり全てがある」というちょっと難しい域に切り込んで行きます。
今回、白石さんは被災地に実際入り「死」と「死ぬこと」を一番考えたそうです。
震災以降 各々の小説家がどのようにあの出来事を受け止め表現していくのだろうか?と思っていた時期にこの本の発売を知りました。
装丁がほのぼのしているので、気楽に読めると思いきや2-3行を何往復もするという状況が結構ありました。
生きること、死ぬこと。今ある時間を深く考えたい時もある。
そんな時におすすめの一冊です。