さいでっか見聞録:富安陽子著のレビューです。
◆童話作家のお母さんのイメージとのギャップが面白い
「童話を書いているんですって?息子さんたち、しあわせですねえ。
ステキなおかあさんで。」
うん、わたしだって童話作家の方に実際会ったら、
きっとこんなこと言ってしまうだろう。
ときに夢のような世界へ、ときに不思議な世界へ、
ときに言葉を持たない動物たちの気持ちを伝えたり・・・
と、たとえ作り話であっても、それを書いている人の想像力に
ただただ感心。
こんなことが書ける人はきっと森の中で小動物たちと
お茶会でもしながら穏やかに生活されているのではないか?など、
要らぬことまでたまに考えてしまう。
実際のところ童話作家さんの日常ってどんなだろう?
児童書をお書きになっている高楼方子さんのエッセイもそうだったけれども、
作品のイメージだけでエッセイを読むとそのギャップが意外にも大きいこと
に驚く。富安さんも、あの時感じたギャップと同じくらい「へぇ、意外だな~」
と思うことしばしば。
そのギャップは最初のエッセイ「童話作家の憂鬱」を読んだだけで
すぐ解る。
「風通しがいいから」と穴の開いたくつ下を息子にはかせたり、
冷蔵庫のキュウリを液体化するまで放置したりという
エピソードが飛び込んでくる。
そう、「童話作家のステキなおかあさん」を早くも覆し、
読者と瞬時に距離を縮める技?というか、サービス精神は
関西在住の作者ならではの配慮か?(笑)
とにかくあとはクスクス笑いながら、いつもと違う富安さんの話に
身を任せていくと、あっという間に「あとがき」の頁になってしまった。
特にムスコさんのエピソードは面白い。
もう10年くらい前に出版された本だから、ムスコさんもすでに
成人されているだろう。
自分の子供時代のおかしな行動や発言がこうして母親の本になって
残っているなんてやっぱりムスコさんたちはステキなおかあさんが
居て幸せだと思う。
エッセイは作家のもうひとつの顔が見られて、
いい意味でとても驚かされる。
特に児童文学の作家さんはその振り幅が大きい気がしてならない。
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