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ガーデン:千早茜

ガーデン:千早茜著のレビューです。

ガーデン

ガーデン

 

 

 

◆女性よりも植物の方がいい?!

 

 

簡単に言ってしまえば、普通の社会人の生活を描いた

小説にすぎないのですが、どこかふわっとした

非現実的な空気感があった。

 

それは、主人公が一息つくごとに登場する植物たちが、

まるでページに根を張って広がっていくかのごとく

小説の中に絡みついていたからかな。

 

主人公の羽野。

小さい頃、両親の仕事で海外で生活していた彼は帰国子女で、

現在は30代独身の編集者。至ってクールで人とあまり関わる

ことを好まない彼の唯一の寛げる場所は自宅に生息する

植物のいる部屋。

彼は生身の人間より植物といる方が落ち着ける人なのだ。

 

かと言って決して変人でもなく人が寄り付かないわけではない。

いや、むしろ羽野くんは女性にもてる。誘われれば女性と会うし、

相談事なんかにも乗る。そんな女性たち、羽野くんに近づこうと

すのだけれども、追えば離れるって感じでその距離は

縮まることはない。

こういう歯がゆい感じが妙に女性の心をくすぐるようで・・・。

 

美人であれ、気の合う同僚であれ、羽野は一定の距離感を置き、

それ以上、踏み込ませない。

 

それにしても、羽野の周りの女性たちには結構重い出来事が重なる。

その都度、羽野は状況に立ち会うことが多く、そこではじめて

彼女たちの心の苦しみなんかに気づくわけだが、それだからと言って

羽野自身が変わることもなく、相変わらず植物の待つあの部屋に

一人帰って行くのだ。

 

そんな羽野にラストは怒りを露わにする女性もいれば、

何も言わず去るものもいた。

 

私的に面白かったのは、弱弱しく見えた女子が

ちゃっかり水面下で社内恋愛をしていて妊娠、

そして結婚を決めていたこと。

 

一方バリバリ仕事をし、しっかりした女子が

心身のバランスを崩して病んでしまったこと。

 

男性の目にはか弱そうに見えるけど、

実はこういう女性の方が強く、この人は大丈夫だろう

なんて思ってる女性が意外にも脆く弱い。

 

こういう例って枚挙に暇がなく女性同士だと

案外見抜けちゃうんだけれど、男性は見たまんま受け止めるから、

弱弱しく見える女性に優しくしたりするわけです。

 

羽野もことが起きてから彼女たちの実情を知るのですが、

女性上司は最初から見抜いている。

ラスト界隈でバタバタと事実が明かされる展開は

痛快で面白かったなぁ。

 

まぁ、そうは言っても羽野くんは羽野くん。

女性恐怖症ともいえる羽野くんが、そう簡単に自分のスタイルを

変えるとは思えないけれども、植物以上に愛せる女性に出逢って

是非とも女性に溺れてみて欲しい。

と、親心のような感情が芽生えた私であった。

 

今回は誰にも気持ちを移入することはなかったけれども、

面白かったと思う。普通の生活を小気味よく展開させ、

一人の男性のキャラクターをしっかり読者に根付かせた千早さん。

男性心理を描くのもなかなかです。

 

そうそう、女性の何気ない意味不明にも聞こえる一言。

男性にとってはすごく唐突に聞こえたりするのだろうけど、

それは一種の何かしらの「兆し」と捉えておく必要があると思う。

 

本書ではそんな女性たちの「兆し」の会話が窺える。

女の人の気持ちは解りにくいとお感じの男性にも

おすすめの一冊ですぞ。

 

 

uzumaki-guruguru.hatenablog.com

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