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淳之介の背中:吉行文枝

淳之介の背中:吉行文枝著のレビューです。

淳之介の背中

淳之介の背中

 

 

 

◆女性に常にモテていた男とその妻の生活とは…

 

 


「淳之介さんのこと」はいわゆる2号さんが書いた本であることに
対して、こちらは本妻さんが淳之介と離れて暮らすまでを

綴った本になります。

 

まず、装丁のタイトル下に小さな字で「港の人」とある。
耐え忍ぶ感じの本妻モ―ドが早くもこんなところに…と。


しかし、これ、出版社名だったのです。

私の深読みもいかがなものですが、
それにしても、なんという偶然というか意味ありげじゃないですか。

 

宮城さんと奥様、まさに対照的とはこのこと。
文枝さんは、控えめなタイプで宮城さんのように、

前へ前へといった感じがなく多くの方々があとがきで言われていますが、
「吉行の家へ遊びに行っても、用が済むとサッと姿を消し、

淳之介が呼べばすぐかけつける」そんな甲斐甲斐しい

奥様であったようだ。

 

そんな控えめな感じが文章にもよく表れている。
淳之介の女たらしへの許容量がものすごく大きく、

「それでいいの?」と思わず問いたくなるシーンもたびたび。

 

しかし、2冊を読み比べるとよく解るのだが、

「女の意地」という凛とした文章がたまに出て来るのには驚かされる。

 

淳之介との約束の墓や、

「記念館や展覧会といったことは一切しないでくれ。
オレは何も残したくないんだ。」と生前言っていたなど、

現在、宮城さんのねむの木学園の近くにある「吉行淳之介文学館」

に対しての抵抗を静かに訴えているかのような一文にギクッとさせられる。

 

別れについては多くは語られていない。
「喧嘩も説明もないままにすごいスピードで動かされた」と

書かれています。

 

庭の「あじさい」を女に持っていくために悪気もなく

掘り返していた淳之介。「おぃおぃ」と思わず説教をしたくなる。

ここでの文枝さんが淳之介へ向ける言葉が、辛辣でもあり切ないのです。

 

でもね、文枝さんも結局は宮城さん同様、

ずーっと淳之介という一人の男性に翻弄されながらも、

彼が亡くなるまで静かに見つめていたのです。

 

この本を単独で読むと、えらく淡白な内容に感じると思うのですが、
宮城さんの本と合わせて読むととても「深い」のです。
片方だけの目線で物事を見てはならないことを実感させられました。

 

淳之介の生涯でいわば土台となった時代の話でもあり、

著名な作家たちが家に遊びに来るシーンなども度々

出て来るのも興味深いです。
また、夫婦の写真も掲載されていましたよ。

 

 

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