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【レビュー】パンとバラ: ローザとジェイクの物語 キャサリンパターソン

 

 

パンとバラ: ローザとジェイクの物語 キャサリンパターソン著のレビューです。

 

パンとバラ: ローザとジェイクの物語

パンとバラ: ローザとジェイクの物語

 

 

 

◆生きるために必要なものは「パンとバラ」

 

「パンとバラ」というスローガンに惹かれて読んでみることにした。

 1912年のアメリカ東部ローレンスの町の工場で働いていた移民労働者たちが劣悪な労働条件を強いられていたことからストライキを起こしたという話で、これは実話なんだそう。

 

その様子を主人公ローザの目を通して描かれている。ローザの母や姉も工場労働者でもちろんこのストライキに加わっているのだが、ローザはそのことが心配で心配でなりません。

 

学校へ行けば、先生はストライキは良くないことだと教えられ、家に帰れば家族はストライキのことで頭がいっぱいで忙しそうにしている。

 

さらにもう一人の主人公、少年ジェイク。この少年はアルコール漬けの父親から虐待を受けていて、家で寝ることもままならず、寒空の下、ごみ山や教会で日々を過ごしている。

 

ストライキは日に日にエスカレートしていき、子供たちの身を守る意味で、彼らはヴァーモンド州に疎開します。

 

ちょっとしたことから、知り合いだったローザとジューク。ジュークはローザの弟になりすまし、ジェルバーティ夫婦の家に滞在するのだが…。

 

前半はローレンス町で働く人々の厳しい現状とストライキの様子が描かれている。衣食住、全てにおいて厳しい生活が、後半は疎開先での豊かな生活が描かれており、その落差の激しさを思い知る。

 

このような社会に巻き込まれ、翻弄される子供たちではあるけど、疎開先の夫婦をはじめ、人情味豊かな光景も見ることができ救われます。

 

マンマたちが持って歩くプラカードに書かれた「パンとバラ」。
パンがほしい、そしてバラも。

 

生きるために必要なパン、そして、心に豊かさを与えてくれバラ。このタイトルの意味を、たくさんの登場した人々から教えてもらいました。「パンとバラ」はまるごとこの本そのものでありました。

 

難しい話になるかとはじめは思ったのですが、厳しい中にもいきいきした会話や、ちょっとした救われるような出来事があったりと、途中からはすっかり夢中になり、人々の様子を見守っていました。

 

図書館でお薦めコーナーになかったら手に取らなかった本だけに、読めて良かったと思います。

 

本好きのみなさんは「パンと本」じゃないかと(笑)本はこうして知らなかった世界を私たちに教えてくれ、心を豊かにしてくれる。やっぱり「本」も生きる上で必要だな。