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【レビュー・あらすじ・感想】メガネと放蕩娘:山内 マリコ

 

 

メガネと放蕩娘:山内 マリコ著のレビューです。

メガネと放蕩娘

メガネと放蕩娘

 

 

感想・あらすじ 全ては地元愛からやってくる

 

地元の商店街は活気があってシャッター商店街とは無縁な地域に住んではいるけれど、それでも長年やっていたお店が、店主の高齢化を理由に店を閉めることになったなどの貼り紙を見た時の悲しい気分は口では言い表せない。

 

地方では大型ショッピングセンターなどの影響もあって、店を閉める個人商店は一軒や二軒に止まらず、商店会全体の灯りが消えてしまうというニュースはよく耳にする。そんなシャッター商店街、なんとか元気を取り戻そう!自分たちとともに育ったキラキラした場所をまた見たい!という願いを込めてなのかな、山内さんは小説で戦いに挑む。

 

 

 

 

主人公は商店街の書店娘である姉妹。
姉は市役所に勤め、妹は家出をしたきりであったが、ある日その妹・ショーコが大きなお腹を抱えて地元に戻って来る。ショーコは東京でショップ店員の経験を活かし、子育てをしながら商店街復興を目指して動き出す。

 

地元の人々や大学生に協力を求めながら試行錯誤の毎日。ファッションショーの企画を立てたり、大学生のステイ、マンスリーショップ等々、ショーコの一見破天荒な発言からみるみるうちに形になってゆく様子が面白い。

 

また、家族、周りの人々との会話はとても自然で「今の人々」と「時代に即した社会」がよーく映し出されている。特にショーコのキャラには、かなり楽しませてもらいました。山内さんの持ち味と強みはこのあたりだなぁーといつも思う。

 

結末は.....彼女たちの理想が叶ったかどうか?
こうなることは読者だけでなく、彼女たちにも想像できなかった展開だったのではないかな。そのあたりも妙にリアルです。

 

全ては地元愛から。
山内さんの描く風景は地元愛に通じている。

 

山内マリコプロフィール

1980年、富山県生れ。2008年「16歳はセックスの齢」で女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞。2012年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行。ほかの著書に『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』『パリ行ったことないの』『東京23話』『買い物とわたし』などがある。(新潮社・著者プロフィールより)

メガネと放蕩娘 文庫版