誘蛾灯:青木 理著のレビューです。
読めば読むほど深まる謎多き事件
同じような時期に同じ世代の似たような女性二人が犯した不可解な事件。
木嶋佳苗は随分マスコミにも取り上げられたように思われたが、上田美由紀の鳥取連続不審死事件は、あまり記憶にないのは私だけかな?
誰が見ても美しいと言えない女性が複数の男性をだまし、そして死に追いやった事件ということで、多くの人々の好奇心を刺激した。これが美人であればなんとなく見えてくるものがあるのだけれども、そういったものが一切ないこの二人。
男性たちが陥ったものは一体なんだったのだろうか。
特に美由紀なる女性は生活そのもの自体が劣悪で、働いていたスナックを含め、交流のあった知人等も多くの問題を抱えている人々ばかり。
そんな美由紀が新聞記者や鳥取県警所属の男性警察官などの男性と知り合い、亡くなっていった。何故事件に人一倍敏感な職業の者がこのような事件に巻き込まれたのか?
口が上手い、男性の癒しポイントを心得ている。
情熱的なラブレターを書いていた等々、様々な要因はあるのだけれども、お金を奪われ、家庭や仕事を捨ててまで彼女と一緒になる価値が一体どこにあったのだろうか。
本書は青木氏が何度も鳥取に足を運び、美由紀が勤めていたスナックや交流関係のあった人物たちに当時の様子をレポートする。
しかしながら、最後の最後まで掴めるものがなにもなくちょっと残念。
途中途中に鳥取の地域情報的なものなどが入り、その土地の特徴的なものなどが書かれたりしているのだが、そういうことよりもっと事件そのものを深く掘り下げて欲しかったかな。
美由紀本人と対面し、インタビューも、もっと聞いてみたかった。
事件の概要はよくわかったが、結局、一周回って元の場所に戻ってしまった感じがして、モヤモヤは収まらないまま読了。
言いたくはないけれど、ネットのまとめサイトで新たに知ったこともあったりしたのでやはりいま一歩な感じは否めない。
最後に、木嶋佳苗と上田美由紀。互いに意識している発言はなかなか興味深かかった。
互いの情報は耳に入っているんですね。