異形のものたち:小池真理子著のレビューです、
異形のものたちは私たちのそばに居続ける
小池真理子さんと言えば長編恋愛小説を書かれる方というイメージがあると思うのですが、恋愛小説の合間にホラー小説が混じり込んで出版されている。
これらはあまり騒がれるほど話題にはならないのだけれど、実は私の中でかなり怖いものを書かれる作家という位置づけです。昔読んだ小池さんのホラー、いまだに思い出してはゾクッとすることがある。
ということで、今回もホラーと思わず読み始めちゃったんですが、怖くて怖くて一気読み(笑)
短編なんですが、読むごとに怖さが迫ってくるような感じがあって、なんていうのか、文字が次第に大きく見えてくるような切迫感。
最後に底なしの沼に落とされるような・・・・そしてページの白い部分を意味もなく見つめて置いてけぼり感を味わうのであった。
とは言え、そんなグロテスクな話でもないんです。
何より怖いのが「気配」。そして通常見えないものが見えてしまうことの意味は一体なんなだろう。話に出てくる異形のものたちの持つ過去とは?
一番怖かったのは、ある夫婦の家に現れた異形のもの。
「ゾフィーの手袋」は、海外赴任で以前夫が知り合った病弱で一途なオーストリア人女性の話。彼女は夫の死を境に日本の家に現れるようになった。そう、彼女は幽霊になってもずっと夫のことを好きで、日本まで追いかけて来たというわけです。
家の中の異変から徐々に怖さに拍車がかかってゆく過程は、それはもう。
夫の洋服が仕舞われている箪笥とか・・・いや、もう箪笥開けるの怖いですって。
小池さんの描く異形たちはふっと現れふっと消えている。
まぁ、幽霊の基本ですが、小説そのものにもそんな雰囲気がありラストもプチンと消えるのだけれども、それが決して終わったのではなく、これからもずっと異形のものたちは私たちのそばに居続けることを感じさせる。それだから余計に怖い。
短編だとあっという間感が強いので、次回は是非是非長編ホラーを
希望します。どっぷりホラーに浸ってしまいたい気分が止まりません(笑)
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