女系の教科書:藤田 宜永著のレビューです。
現役引退して悠々自適な生活か?なんて大間違い!?
出版社を定年退職し、カルチャーセンターで講師の仕事をする男性とその家族を描いた小説。・・とこれを書いていて今更ながら気づいたのですが、藤田さんって小池真理子さんの旦那さんでしたね。何作か読んだ記憶があるのですがこういった人情ものも書く方だったとは全く知りませんでした。
私は何故だか本作を実話だと思い込んで読んでいたのですが、小説だったんですねー(笑)それくらいリアリティある内容でした。
世の中には女系家族というものがあって、そういった環境の中に身を置いている男性は女性のいい面も悪い面も見ているだけに女性たちの交わし方も上手い。
本作の主人公も妻はすでに他界しているが、女姉弟、結婚して子供も娘3人、姪や孫も女という、見事に女性たちに囲まれている
しかも、娘たちと同居し、近所には姉妹も住んでいる環境。となれば、日々賑やか、事件勃発は免れないということは想像に難くない。
「常に中立、馬耳東風をモットーにしてないと、火に油を注ぐようなことになりかねない」
女系家族にいたからこそ身につけたともいえる処世術に思わずくふふと笑いたくなる。
そんなマイルドな主人公は結構な事件に巻き込まれたり相談されたりと、日々悩みは尽きない。娘の恋愛問題から、教え子家族の問題、母親の介護問題等々、ドタバタ劇は終わることはない。
63歳。現役引退して悠々自適な生活か?なんて大間違い。家族との時間が濃厚になる分、忙しくなることもあるんですね。そして、自身の恋愛も続行中!第二の人生を思い切り謳歌してほしいなーと、清々しい気分で読了です。
本書は「女系の総督 」の続編だったそうです。知らないでこちらから読んでしまいましたが、まったく問題なく楽しめました。が、前作もやはり気になるので、機会があったら読んでみよう。