ヘッテルとフエーテルのみにくいアサヒるの子 :マネー・ヘッタ・チャン
著のレビューです。
【本が好き!の献本書評】
◆めでたくなしめでたくなし・・・で終わる物語
「悪」を暴く本はたくさん出版されているけれど、
本書のように物語調の読み物は珍しいのではないかと思う。
取り上げられている問題はどれも深刻なもので、専門書もたくさんあるはずだが、
難しそう、読み切れるか・・・など、今までこういったジャンルの本を
読まなかった者にとっては、物語にしてもらえたことによって
理解も出来ましたし、興味も持てました。
本書にはお金にまつわるウソが様々な方面から書かれています。
特に印象的だったお話をいくつか挙げてみます。
第1話 「おお、米の木、米の木よ」
─────「激安!特選米!」なんてセール品は危険かも!という気持ちになった。
お米は田んぼの土や周辺環境がいかに大事か・・・。
線路とお米の関係なんて今まで考えたこともなかったです。
普段食べているお米がどんな土で育ったのか?ブランド米で美味しいからと
買っていたけど、それだけの情報だけじゃ足らない気がしました。
第3話 「メタボの上のポニョ」
─────メタボについての考察。気にしすぎて、ダイエットに励む女性の話で、
最終に体を壊し、貯金も若さも仕事も失うというコワイ内容。
「禁煙せず」「ときどき飲酒」「BMIで25~27」の人が統計では
一番長生きらしい。皮肉なことに、この女性はダイエット前が一番健康的な
体だったってこと。基準値ってなんだろう?
戦後長い間、高血圧は180以上だったとのこと。
今と比べるとその差は大きい。誰かの都合で数字を操作されているかも?
基準値を鵜呑みにして良いのかと問いたくなる話だった。
第7話 「みにくいアサヒるの子」
─────読んで良かった。水俣病の話です。自分が生まれる前の話で、
学校でも一応は習ったはずですが、実は病名ぐらいしか頭に残っていなかった。
今回、本書でこんなにも長い時間、戦い苦しんでいる方がいたのだと内容を含め
知ることができた。
「人生が一転する・転落する」「過ぎたるはなお及ばざるが如し」などの
話が多く、全体的に柔らかい文体ですが内容は深刻です。
30分くらいで読み終えましたが、いろんなことを教えてもらいました。
こういう本をきっかけに興味がある問題に掘り下げていくのもありだと思います。
大人はもちろん、学生さんも入りやすいのではないかと。
装丁も手に取りやすい雰囲気ですよね。
「そんなことはもう知っている」という方も、他にはない個性ある切り口が、
とても新鮮に感じられると思いますよ。
小難しい話を噛み砕くってこういうことなのかと実感しました。