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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】トガニ:孔 枝泳

 

 

トガニ:孔 枝泳著のレビューです。

トガニ―幼き瞳の告発

トガニ―幼き瞳の告発

 

 

 

国民の怒りが政府までも動かした衝撃の事件

 

学校の闇の部分を扱う小説は毎年日本でも衝撃作として話題になるが、個人的にこのジャンルは苦手なので、年に数冊読めばいいほうである。

 

そんな私が、なんの知識もなく、新潮社の中瀬ゆかりさんのおすすめ本だったということと、映画化された作品だという情報のみで、軽い気持ちで図書館に予約を入れてしまった。

 

なので、途中までこの話が実話であるとは知らずに読み始めたわけだが、あまりに重苦しい内容なので「これは?」と思いネット検索してはじめて実話であることを知ったのです。

 

内容は、韓国の聴覚障害者学校で実際に起きた性的暴行・虐待事件を描いたもの。2000年から6年間、校長や教職員が複数の生徒に性的虐待を行なったという、とても残虐でやるせない内容で、一気読みが難しく他の本を間にはさみつつ読み終えました。

 

警察や教育委員会、市役所に告発するが、相手にしてもらえない状況下、赴任したばかりの教師らが必死にこの異常事態を訴え続ける。やがて、校長らは逮捕され、裁判がはじまるが、そこでも何度も愕然とした気分にさせられるのである。嘘、卑怯、権力…やり場のない怒りがそこに残る。

 

そして時が過ぎ、再びこの事件が本の出版によってクローズアップされるのである。
韓国でベストセラーになり、さらに映画化され公開。460万人を動員されるほどであった。

 

一大社会現象となり、映画の名から取った「トガニ法」という法律が制定されるまでになったという。

 

トガニ…るつぼという意味で、聴覚障害者学校での性的暴力事件をめぐって起きた一都市の「狂乱状況」をたとえたものである。

 

…と、あとがきで訳者の蓮池薫さんは言っています。蓮池さんが翻訳した本を読むのも今回が初めて。非常に読み易かったです。