口笛の上手な白雪姫 :小川洋子著のレビューです。
読んだそばから溶けてしまうような話の数々
小川洋子さんの本は新刊が出ると必ず読むというわけではないので、
まだまだ馴染みがあるとも言えず感想もまとまらない。
面白いと思えるもの、なんかちょっとつかめないと思うものが混在している。
本書もそんな感じで読み込めたとはとても言えない。
全体的には手のひらに落ちた雪のようで、
読んだそばから溶けてしまうような話の数々でした。
どこか現実離れをしているような、幼少期の不思議体験、
あの時期にしか見られない何かといった感じに近い。
表題の作「口笛の上手な白雪姫」は特に印象的でした。
銭湯の脱衣所の片隅で、お風呂上がりの赤ん坊を預かり、
母親をゆっくり入浴させる世話をする小母さん。
誰に頼まれたわけでもなく世話をする小母さんの
小さい音の口笛のメロディーは泣く子を落ち着かせる不思議な口笛。
湯けむりの上がる場面と小母さんがちょっと謎めいて、
それでいてぬくもりを感じさせられる話でした。
小川さん、結構書評泣かせかな・・・。
これ以上書くと作品の世界を壊しそうなので撤退します(笑)
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