そのひとクチがブタのもと:ブライアン・ワンシンク著のレビューです。
- 作者: ブライアンワンシンク,Brian Wansink,中井京子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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本当に今、空腹ですか?
このタイトルと、ほのぼのとしたブタさんの絵から、軽いダイエット本だと思ったのですが、どうして食べ過ぎてしまうのか、実験を用いて人間の心理や行動をしっかり分析した大変真面目な内容でした。
「人は空腹だから食べるのではなく、無意識のうちに食べ過ぎてしまうのだ」と、著者はこの本で何度も言っています。
例えば…
細長い缶入りのポテチを使っての実験。(3パターン)
①7枚目ごとに赤いポテチを入れる。
②14枚目ごとに赤いポテチを入れる。
③全く手を加えなかった。
ビデオ観賞会を開き、各グループに分け、結果を見ると食べた平均枚数は…
①10枚
②15枚
③23枚
要は食を中断するきっかけがあれば、食べ続けたいかどうか決める機会になるという。
私達はお皿が空になったら、食べるのを止めるのが常ですが、スナック菓子など食べ終えるきっかけを作るのは難しかったりしますよね。そういう場合はどんな工夫をしたら良いかなどが実験により解っていきます。
お得だからとつい買ってしまう業務用とか徳用サイズとか…マックよりサブウェイの方がヘルシーとか…レストランのメニューは、ちょっと凝った名前のものの方が美味しそうに見えるとか…会社のデスクの引き出しにお菓子を入れておくとか…日常の思い当たるシーンですよね。そこに潜む罠にひっかからないようになるのがこの本。
もうひとつ。
アイスクリームケースの実験で、同じ場所でも蓋をあける手間をひとつかけるだけで判断する時間が増え、食べるパーセンテージが変わるという結果があった。
そこで思い出したのは、最近コンビニのアイスのケースって蓋がないものがありますよね。あれってやっぱり戦略なんだろうなーと。
確かに目に入ったら手にしてすぐかごに入れてたりするものなぁ…。
蓋があるケースの場合、少なくとも開ける前に覗きこんで考える時間があって買わなかったことも結構ある。
…というように、これらの検証は飲食店などのビジネスにも十分役に立ちそうな内容でもある。
まだまだ、興味深く面白い実験がたくさん出ているので、ダイエット目的じゃなくても興味のある方は是非読んでみてください。
装丁のブタさんスタイルで食べている光景に心当たりがある人は必読!
私的には結構納得が行く項目が多かったです。無意識から少しだけ意識化できるようになるといいなぁーと。
作者のドクター・ワンシンクはアイオワ州出身。
経営管理学、栄養科学、農業経済学、消費者経済学で教鞭をとっている方です。