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【レビュー・感想】小説家ぶー子イギリスを行く: 村山由佳

 

 

小説家ぶー子イギリスを行く:村山由佳著のレビューです。

小説家ぶー子イギリスを行く 別冊付録:ぶー子のスケッチブック

小説家ぶー子イギリスを行く 別冊付録:ぶー子のスケッチブック

 

感想

現在の村山さんの生活スタイルに通じるものをとても感じる旅


旅の本は比較的新しく出版されたものを読みたいと思っているのですが、今回はイギリスというより、「村山さんの旅行スタイル」の方に興味が勝り、2000年、つまり18年も前に書かれたものではあったけど、手に取ることができました。

 

村山さんの現在のお住まいを知っている方は多いと思いますが、すごいんですよね~。
とにかく、大きな家・庭に加え、内装やインテリアに至るまで日本離れした雰囲気なんです。うっとりさせられるアンティークの世界。


小物はもちろん、ドアひとつとってもこだわりを持って集めていらっしゃるお部屋の様子にいつも羨ましく眺めさせてもらっています。

 

そんな村山さんがイギリスへ!そう、アンティーク雑貨の宝庫に長期旅行となれば、当然、いろいろお店や市に行かれるだろうと。しかも、本書は別冊で写真集が付いているので、その様子も楽しめるときています。

 

 

 

 

ということで、村山さんと(当時の)ご主人M氏が1997年秋と、1998年初夏にテレビ取材を兼ねて訪れた時の2回にわたる旅行日記のようなものになっています。

 

非常に興味深かったのは、当時のネット環境事情です。
まだ、PCの持ち運びが主流ではなかったという時期の苦労話が懐かしくて面白い。

 

宿に着くとまず電話のモジュラー・ジャックを探し、そして、苦戦してネットに繋ぐ作業。繋がった時の感動等々、ある意味手に汗握るシーンが宿替えするごとに繰り返される。やぁー大変な時代でしたね(笑)

 

あと、ロンドンからあちこち車で周ってゆくのですが、M氏が腰痛に苦しむ。後にヘルニアと判明するわけだけど、前半の旅は、イギリス情報とM氏の病状とが交互にやってくる感じで、非常に気が抜けない状況に。しかし、不謹慎だけどそれがまた面白い仕上がりになっています。

 

というか、村山さんの口調が砕けているというか、今と違った雰囲気。
本書のタイトルも「らしくない」感じがしたんですけど、キャラが随分変わったのかしら?時間の流れを文体からも感じずにはいられませんでした。

 

 

 

 

さて、骨董品に出会う場面も思った通り楽しく拝見。
特に写真の方は、どんなものが売っているのか、目を細めて隅々まで・・・(笑)

 

「歴史上の人物が、ふいに立体的に立ち上がってくる瞬間。
それを味わえるから、私はその人の遺した品々を見るのが好きなのだ。」


立体的に立ち上がってくる瞬間・・・分かるなぁ~。
詩人・バイロンの邸宅を訪れた時に漏らした村山さんの一言。

村山さんが古いものを愛し、大事にしているのはこの言葉からすごく理解できます。

 

そして、話は最初に戻りますが、現在の村山さんのお宅の雰囲気と、本書でお宅訪問された家の雰囲気が非常に似ていることからもこの時に見たもの、触れたものが、今の村山さんの暮らしに通じているのだということが分かります。

 

感受性豊かな時期に出来るだけ外に出て、色々なものに触れ目を養っておくことって大事だなぁ・・・と、改めて思うのだった。

 

ということで、ここには書き切れないほどの人との出会いや美味しいとはいえない食事事情などを含め、読み終えたころにはすっかり英国へ行った気持ちに。楽しかったです! 

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