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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】13ヵ月と13週と13日と満月の夜 :アレックスシアラー

 

 

13ヵ月と13週と13日と満月の夜 :アレックスシアラー著のレビューです。

13ヵ月と13週と13日と満月の夜

13ヵ月と13週と13日と満月の夜

 

 

◆少女と老女。立場が変わって見えた世界は…

 

 

こういうタイトル、なんか弱いんですよね。
13という数字が3つ並ぶあたり、そして、なにが起こっても
不思議ではない満月と。

 

わたしの名前はカーリー。いま、わたしにすごいことが起こっている…

表紙に刻まれたこれらの言葉がどういうことなのか、先に進むまで
なかなか分らない。

 

12歳の少女2人が、年老いた意地の悪い双子の魔女たちに、
身体(肉体)を取られてしまう話です。

 

少女達は心はそのまま、肉体は老人へ。しかも、自分の姿が
変わってしまった事実をいくら話しても、周りはもちろん両親にすら

信じてもらえず、「ちょっとおかしくなった老人」という解釈をされ、

やがて老人ホームへ入れられてしまうのである。

 

 

 

幽体離脱とか呪文とか、ミステリアスな設定ではあるのですが、
個人的にはこの少女達が老人になり、初めて老化という哀しい
事実を受け止めなければならない部分が印象に残る。

 

思うように動かない足、入れ歯が外れそうになったり、
鏡を見てしわしわの身体を直視しなければならなかったり、
年寄りだからと妙に子供っぽい扱いを受けたりと…。

 

あとがきで作者も言っている通り、人は見かけだけでは分らない。
年老いた人でも中身は若いこともあるし、若く見える人でも中身は
随分年寄りじみている人もいる。
幸せそうに見えても…元気そうに見えても…等々。

 

自分の気持ちと肉体の老化。
走ってる時のあれです。気持ちは全速力、でも足は空回り~。

 

12才、身も心も最も軽やかな少女期。
80才という残りの人生もわずかという老年期。
この対極にある立場が一気に入れ替わることによって、
よりリアルにこのギャップが読者に伝わってきます。

 

お年寄りの気持ち、行動、話すことなど、理解しているといっても
本当のところは、やはり自分がその時を迎えないと解らない。

 

せめて声だけでも耳を傾けよう。
言いたいことや本心は本当にそこなのか?と丁寧に。
カーリーたちを通して私も思い直す。

 

13ヵ月と13週と13日と満月の夜…
この意味が解るのは113ページ。
思わずページの数字を見てギョッとした。
これは演出なのだろうか?