ヘミングウェイの妻 :ポーラ・マクレイン著のレビューです。
◆古今東西、作家の妻は苦労がつきもの?
ヘミングウェイと言えば「老人と海」。
「老人と海」と言えば・ヘミングウェイ。
…ということぐらいしか正直知っていることは何もない。
そのうえ、本のタイトルからして、ヘミングウェイは
「おじいさん」だというイメージしかない。
こんな無知なのに、この本に惹かれたのはなんでだろう?と自問自答。
おそらく作家の妻系の読み物がすきなことと、この装丁の雰囲気かしらねぇ。
さて、私の中で思い切り老人のヘミングウェイ氏。
って、すごく迷惑な思い込みでしょうが、彼にだって青春時代があったわけで。
しかも、結婚を4度もしていると言うじゃありませんか。
こりゃ、相当な女好き、もしくは破天荒な人物に違いない…と、
こころして読み始めたわけですが、結婚回数は多いけどそれほど
酷い女遊びをするといった感じではなく、奥さん大好きご主人で
愛情に満ち溢れていました。
本書は最初の妻ハドリー目線で描かれたヘミングウィの生涯の話。
大半はまだ彼が売れる前の一番大変な時期のことですが、ハドリーとの
幸せな日々のことも綴られています。
夫人との出会いから別れまで…なんというか、結婚で起こりうる
あらゆること、良いことも悪いことも盛り込まれていて、
なかなか地に足がつかない不安定な状況が読んでいてもつらいところ。
また、夫婦は舞台のパリにとどまらず、あちこち海外を
飛び回りますから付いて行くのも大変です。
子供を産み、やがて悲劇の三角関係、そして、離婚。
後半大きく話が動き、読み応えのあったラスト。
孤独を何よりも嫌う彼に対してのハドリーの離婚条件の出し方や、
最後に交わした二人の会話から、人生の奥深さを感じさせられた
1冊でした。
本の中では、ヘミングウェイは「アーネスト」と呼ばれ、
ヘミングウェイについて知らなかった私はすでに実話に基づいた
話という感覚はなく読んでいました。
彼の著書のリストを見て初めてリアリティを増したとういう…
それだけ物語性のあるご夫婦だったのだなぁ…と思います。