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パリのおばあさんの物語 スージーモルゲンステルヌ、セルジュブロック

 

パリのおばあさんの物語 スージーモルゲンステルヌ、セルジュブロック著

のレビューです。

パリのおばあさんの物語

パリのおばあさんの物語

 

 

 

◆それは老化ではなく変身なのです!

 

 

小さな市場でお買い物をしているおばあさんの
シーンからはじまる物語。

おばあさんは、
力がないからいっぺんに色々なものが買えないし、
足が悪いから次の一歩を踏み出すのも大変だし、
コインを見分けるのにも時間もかかる。

若い時はなんともなかったことが
おばあさんになると、ひとつひとつのことが大ごとになる。

おばあさんの日常はそんな小さな困難が沢山おきている。
でもね、このおばあさんからは悲壮感がひとかけらも感じられないのです。

今と昔の話を行ったり来たりしながらおばあさんの
過去が少しずつ分かって来る。

小さなアパルトマンにひとりぼっちで暮らすおばあさんはユダヤ人で、
これまでたくさんの辛い出来事を経験してきました。

「それなのに」、「それだから」どちらなのでしょうか?

辛そう、寂しそう、に見えることも、
おばあさんの頭の中を覗くといつの間にかちょっと楽しいことに
すり替わっているのです。

おばあさんは私たちへそっと問いかけて来ます。
そしておばあさんの深みのある言葉に私たちは立ち止まります。

「ポジティブシンキング」とか「前向き」とか、
ちょっと押しつけがましい言葉が苦手な私ですが、
おばあさんのそれは肩ひじ張らない感じが心地よい。

「ステキだわ、子供のときから、
    変身するのが大好きだったんだもの」

老いた自分の姿を見て嘆くより、
こんな風に言えるおばあさんはやっぱりチャーミング。

いずれこのおばあさんが経験しているいくつもの老い
私にもあなたにもやって来る。

おばあさんのように現状を受け入れる強さとユーモアを忘れずに
過ごす自分でいたいなぁ・・・

きっと誰もがそんな気持ちにさせられる物語だと思います。


※訳は岸恵子さんです。
 あとがきには岸さんのこの本に対する熱い想いも掲載。