あつあつを召し上がれ:小川糸著のレビューです。
◆食事にまつわる短編集にホロリ・・・
小川糸さんの小説は、本当に心の中の芯まで温めてくれる。
そんな魔法を持った文章を書く作家の一人だと思います。
この小説は短編が7話。短い話なので、あっという間にページが進んでしまい、なんだかサクサク読んでしまうのがもったいない気分になってしまいました。
もうすぐ亡くなってしまう人に何を食べさせてあげたいか?
明日嫁ぐ娘と父親、最後に一緒に食べる食事は何?
明日、心中する恋人同士。もうすぐ別々に生活する夫婦。
いずれも、今までと違う状況での食事とは。
いつか思い出になる、最後の食事シーン。
またはその食事をきっかけに、新しい世界が始まることもあります。
小川さんの料理関係の表現力は逸品で、いつの間にか登場人物たちと同じ食卓を囲んでいる気にさせられます。
ジーンと来て目頭が熱くなったり、お腹が空いてきたりと色々な面で愉しませてもらいました。そして、早くまた長編も読みたいなぁーと、気持ち的には腹八分目気分です。