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黄金の鋲:瀬戸内晴美

黄金の鋲:瀬戸内晴美著のレビューです。

黄金の鋲 (角川文庫 緑)

黄金の鋲 (角川文庫 緑)

 

 

 

◆当時の数奇な生活と心の飢餓が確実に今の寂聴さんの血となり

 骨となっているのだろうということが感じられる

 

 

ここのところ古本屋さんで必ずチェックするのは瀬戸内さんの棚。特に「瀬戸内晴美」時代の古いものは入手困難になって来ているのであれば即買いです。少しずつ自分の本棚に濃厚な瀬戸内さんの本が並んでいくことに喜びを覚える今日この頃です。

本書は瀬戸内さんご自身の体験を踏まえ綴られた小説。覚悟はしていましたが、やはり波乱万丈と言う言葉がしっくりくる。

瀬戸内さんと言えば、子を置いて駆け落ちしたという話は有名だ。私的にはその後、幾人もの男性とのお付き合いがあったのかなーと思っていましたが、本書を読む限りでは登場する男性は意外にも少なく、同じ人たちの間を行きつ戻りつの関係を繰り返している。

それゆえに読んでいて苦しい。精神がおかしくなるほどの激しい恋愛。男たちの身勝手さ、それを許してしまう主人公の牧子。どこかいびつな関係こそが作家である牧子の文学の原動力となる。そしてなかなか離れられない共依存的な関係から抜け出せない苦しさが付きまとう。

特に年下の恋人は金はたかるし、他の女性と浮気もする。言うことは一人前だが、やってることがひど過ぎる男性。それでも離れられないという牧子は着々とダメンズを育て上げてしまう。

本書の凄みは牧子の気持ちの流れ、女心が本当に細やかに描かれている点です。何と言ったらいいのかな、瀬戸内さんの身体から絞り出されたような呻き声ともいえる言葉の数々に圧倒されることしばしば。生活を支えるために脇目もふらずに書き続ける姿が目に浮かぶ。

未来を感じられない関係の重苦しさ。やはり別離は訪れる。牧子が男に買い与えたという高価な着物の数々。本当だったら、出ていく男に持たせってやってもいいと考えるところ、牧子はある行動にでる。その理由がとても女心なのだ。

完全燃焼。
なぜだか憑き物が落ちたかのような清々しさすら感じられる終わりであった。

現在、寂聴さんは若者に「どんどん恋愛しなさい」と諭しているが、「恋愛」というくくりが寂聴さんの経験したもの相応のことと言うのならかなり強靭なメンタルを要する。この修行ともいえる苦しさに耐えうる若者たちの姿がどうしても想像できないのはやはり時代なのかな。

安定した家庭を望まず、さらに尼僧になり、90歳を超えてなおも書き続けているというそのタフさ。当時の数奇な生活と心の飢餓が確実に今の寂聴さんの血となり骨となっているのだろうということが感じられる一冊でもあった。

ふぅ~~、ほんと重苦しかった。10冊の恋愛小説相応の濃厚さが詰まった1冊であったように思える。

 

 

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